「胃と腸」56巻3号
内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス ―下部消化管腫瘍
56巻3号「内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス ―下部消化管腫瘍」
近年の消化管画像診断は、肉眼的な所見だけでなく、内視鏡による拡大観察が広く利用されており、病理診断に迫る精度で行われている。もともと拡大観察を含む消化管画像診断は、対象疾患の肉眼所見・病理所見との1対1対応を行うことによって発展してきた。病理診断においても、昔ながらのHE診断だけでなく、近年では免疫組織化学染色、in situ hybridization、遺伝子診断などの応用により重要な新しい知見が加えられてきている。最近では、鋸歯状病変が臨床的な側面を契機に病理学的な検討により、非腫瘍性病変から腫瘍性病変として取り扱われるようになった。このように消化管画像診断と病理診断は両者の融合により発展してきた歴史がある。内視鏡医は、これまでの経緯と現状を熟知したうえで拡大観察を含めた画像診断精度を高めていく必要がある。本特集では、内視鏡医も知っておくべき消化管疾患の病理診断を取り上げ、消化管画像診断の理解の深化に役立つ病理所見、病理診断のポイント(ピットフォールを含む)を概説する。本号が消化管画像診断を行うすべての者に対する病理診断の教科書(リファレンス)となることを期待したい。特集2回目の今回は、下部消化管(空腸から肛門)の腫瘍および腫瘍様病変を取り上げる。